18歳で松本工務店に入社して今年で49年目、67歳で現役です。社員のなかでは最年長ですね。最初は鳶工で入って、途中から土工の技術と知識も身に付けて、両方の職長として仕事をしてきました。年齢のことも考え55歳で土工のほうに絞って、現在に至っています。
マイ・キャリア
半世紀にわたる鳶工としての職業人生を振り返りますと、足場仮設や鉄骨、機械工事など、一つひとつを経験した新人時代、各種工事の職長を経験する中で、徐々に規模の大きな案件を担当するようになった中堅時代、そして職長会の会長を任されるなど、建設工事全体を司る立場となった監督業時代、さらに鳶工の領分を超えて土工領域を深耕しながら後進の育成にも力を注ぐようになった指導者時代へと変化してきたことがわかります。
今後の抱負
長年やってきても、まだ満足しきった感じはありません。常にもっといい仕事を求めている。これで良し、というのがない仕事かも知れません。実は平成24年に秋の叙勲をいただきまして、皇居で勲章と盾をいただいてきました。おそらく建築業界で受章者が少ないので選んでいただいたと思うんですが、そこが終着点でもないし、これからも仕事を続けていきたいと思っています。
やりがい
土工事でこだわっているのは、出来映えです。柱や壁の型枠をはずしたときに、バシッとキレイなコンクリートが出来ていれば納得できる。ジャンカーやコールドジョイントなどはもってのほかです。床に打設する場合と違って壁や柱は型枠があるため目視できないので、コンクリートのなかの空気を抜くためにバイブレータで振動を加えていくときは「プロとしての技と勘」がすべてになります。バイブレータにも種類があり、振動の幅や有効範囲などを頭に入れないといけない。自分だけが分かっていてはダメで現場の職方にきちんと伝えないとダメです。